天使みたいな死神に、恋をした

「アンジュラ、ついにおかしくなったの?」

「失礼な」

 笑いながら顔を遠ざけるアンジュラは、少しばかり力が抜けたようになり、外出用のローブに袖を通す。
 
 が、普段のとたいして……全く代わり映えしないんだけど、本人は至って当たり前のように、一張羅でも身に纏うかのように優しく扱っていた。

 素材が違うか糸かなんかが高級ってことなんだろうと勝手に位置付けて、

「ただ、翠さんと一緒になるのも悪くないかなと私は思いましてね」

 それ、まだ続いてるのか。後ろを向きながらさらりと言ったアンジュラの表情は分からないけど、

 確かに私の心臓は少しだけドキリと音を立てた。



「一緒になるって……」
 


 ごくりと喉が鳴る。
 
 振り返ったアンジュラの顔は、『なにか?』とでも言いたげで、

 またドキリと音を立てる私の愚かな心臓。(ないけど)
 

 杭があれば私の心臓のど真ん中をぐっさりと貫いてやる! と、自分の心臓に怒りを覚え、杭を打ち込む真似をしてみる。


「あの、翠さん」

「はい!」

「申し訳ないんですが、その態度を見ていまして思うことは、私は死神でして、ええと、吸血鬼とは違うんですよ」

 哀れな目で私を見下ろす死神に同情されていると思うと、少しだけ悲しくなった。
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