天使みたいな死神に、恋をした
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『綠? なの?』
『うん。びっくりするよね』
『なんで、だっておまえこの前の事故で』
綠は信二の目の前に座って、彼が飲みかけの麦茶に口をつけた。
『やっぱおいしいね、久しぶりにモノをお腹に入れた』
『何その変な言い方。おまえ生きてたのか』
『ううん、生きてないよ。最後のお別を言いにこうやってきたの』
『なんだよ最後のお別れって。何言ってんの。ここにいまこうやっているんだからお別れもなにのないだろ。今までどこにいたんんだよ、俺すげー心配したんだぞ。いままでどうしてこうなったってずっと考えてた』
『ごめんね。でもお葬式にもでたでしょう? それが全てで。私はもういないんだよ』
『いないって……なんだよ、お前だって俺の前に今いるじゃん。じゃあなんで』
信二の眉間にはずっと皺が寄っていて、綠の頭から足の先までをしきりに何度も見ていた。
それもそうだ、綠の通夜、葬式にも出ているし、最後まで見届けているんだから、ここに、実際に触れる距離に綠がいることの方が理解できなくても仕方ない。
『話は長くなるから、私がどうしてここにこうやっているのかは簡単に言うとね』
『ずっと一緒にいれるの?』
信二は綠の話を遮ったが、綠は悲しそうに首を左右に振った。
『できない』
『いてくれよ。今いるみたいにいてよ』
『……』
『緑。一緒にいてよ』
切実に、切羽つまる信二に、
『……本当に?』
『当たり前だろう』