天使みたいな死神に、恋をした
「何してるんですか」
この冷たい声には聞き覚えがある。でもその冷たさとはうらはらに心にはじんと温かみが湧いた。
助かった!
「アンジュラァァァァァァァァァ」
ぱちりと両目を開くと目の前にはぬぼーっと突っ立っているアンジュラ。フードを深く被ったまま、(例のごとく顔は見えない)こっちを冷たい眼差しで見ているように見えた。
鎌は空中で止まったままぴくりとも動かない。
そして、その鎌には私以外誰も触れていない。
アンジュラはそんな鎌を一端、確かめるように眺め、
しっかりと持っている私の手をさささっとほどき、自分の手中に鎌を収めた。
さっさと中に入ってくださいと手でしっしっと野良猫を追っ払うような仕草をする。それに従い私はくるりと回れ右をして家の中に足早に急いだ。
後ろでドアがばたんと閉まる音が聞こえ、ふっと安堵する。アンジュラは私には見向きもせずに通過し、壁に自分が使っていたであろう鎌と私が勝手に持ち出した鎌を綺麗にかけ直すと、フードを取り、顔を見せ、私の方を振りむいた。
横目にアンジュラを見て様子を伺っていたけど、
……うん、完璧に怒ってる顔だね。これはそうとしか思えない顔だ。