天使みたいな死神に、恋をした

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 病室のベッドには、やはり変わらない私がいる。
 
 管で繋がれた体は見ているだけでも痛々しいが、体に戻れば、ここにこうしていたことは忘れていますし、長い夢から覚めたという錯覚に陥りますから心配することはないですよ。と、淡々と言う死神に、複雑な気分になる。



 リミットはあと7時間。



「ラッキー7だね」

「意味が分かりません」

「そうだよね」

 
 こんな状況のどこがラッキーかとぶつくさ文句をたれていると、誰かが病室に入ってくる気配を感じ、そちらに目を移す。


「翠さんの彼氏じゃないですか?」
 
 たぶんそうだ。でも、名前が思い出せない。

「名前、忘れました?」

「たぶんそろそろ思い出すと思うけど」

「そうですか、ではごゆっくり」


 口角が上がったアンジュラに、口角が下がる私。


 長く居すぎたのか、自分の彼氏の名前を忘れてしまっている。
 
 このままじゃ、アンジュラが言ってた通りになる。

 
 今入って来た男の人の顔を(ルーインの言葉を借りれば)穴が開くほどによーーーーーく見て、そこにあるはずの脳みそを少しだけ使ってみた。
                                                                    

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