天使みたいな死神に、恋をした

「ばかかお前は! さっさと早く体に戻れって!」

 ぽかんと頭をぶったたかれた。犯人はもちろんルーインだ。

「ちょっとなんで叩くの! 信じられない」

 普通叩かないし!

 頭をおさえて睨みつけた。

「のんびりしてる時間ないぞ」

「30分しかないんでしょ」

「分かってるなら早くしろ。今回はまじでやばい」

 この前トライした時、ものの何秒かだったじゃん!

 なんでそんなに焦ってるのこの堕天使は。

「万が一また戻れなかったらもう試す機会はないぞ。お前は完全にこっち側の住人になる」

「そうだよね、なんでも二回目はないってことだよね」

「ああ、良く分からないけどそんなかんじじゃないか」

 またも戻れないってことだって可能性としてあり得るわけだ。
(絶対にあってはならないことなんですが)


「アンジュラ、私、帰る、ちゃんとケリつけてこないと。じゃないとなんかもやっとしてて気持ち悪い」

 死神は口元だけで笑んで、何も言わなかった。




< 210 / 262 >

この作品をシェア

pagetop