天使みたいな死神に、恋をした
ルーインも無言でアンジュラのことを見、腕を組んで立っている。同じくこちらも何も言わない。
咳払いを一つ。
スカートの裾をひっぱる。歩く。
自分の体の上に立ち、下に横たわる私と、その隣で泣いている彼氏の顔を交互に見る。
ああ、痛いんだろうなぁ。
見たかんじ痛々しい。包帯でぐるぐるだ。
きっと痛さに目を覚ますことになるんじゃないかな。
そう思うとちょっと引ける自分もいる。
ごくりと唾を飲んだ。
「じゃ、行くよ」
「…………」
アンジュラはルーインだけ残して、フードを深く被って静かにそこからいなくなった。
片隅にうっすらとそれが見えたけど、取り立てて引き留めようとは思わなかった。
逆に引き留めようとしたルーインはアンジュラの醸し出す空気を察してか、はたまたそのフードの中の顔を見たためか、手を引っ込めた。
その顔には何とも言えない表情が浮かんでいたわけだが、楽しむように笑ったようにも見えた。ことは、気づかなかったことにしたい。