天使みたいな死神に、恋をした
心の中で何度も何度もアンジュラの名を呼びながら家の中をうろうろと歩き回る。
何をしていいのか検討もつかないので、ひとまず歩くしか落ち着く方法は見つからなかった。
どのくらい時間が経っているんだろう。私、まだ大丈夫だよね。ちゃんとあの病院にいるよね? おとなしく寝てるよね? まだ、ちゃんと、いる? よね?
戻れなくなったのは私がアンジュラのことを少しでもいいかもなんて思ったからだ。いや、
むしろ、好きだという感情に気づいてしまった。
そう思ったのがいけなかったんだと思う。ここにいてもいいかもって思ったのがダメだったんだ。
ここへ来たとき、別に戻らなくてもさして不自由もしないって思っていた。
毎日は平凡でたいして面白くもない。浮気性の彼氏ともうまくいっていない。どうなったっていいやって、心のどこかで思っていた。
そんな時に死神と出会った。
見た目、まんま骸骨。一度見たら凍り付きそうな怖さしかない。それでも私には魅力的に映った。
でも自分の気持ちを、相手を思うことを止めるなんてできないことだ。
そういうきっかけを作ったのは他でもない、この私。
自分を責めるのはやめよう。
「アンジュラ!」
「はい」
コンマ一秒で振り返るとそこには一生懸命に探していた死神が闇に紛れて立っていた。
今までもずっとここにいましたけど? 的な雰囲気で。
私は1歩で近づき、胸ぐらを掴む。
「帰りたい!」
「本当に?」
「本当に!」
胸ぐらを掴んでいる私の腕を優しくほどき、