天使みたいな死神に、恋をした

 この人だ。この人はサークルの仲間じゃない。名前も分からないし、そもそも見たことさえない。
 
 私の後ろに着いてくるアンジュラにこの人だと思うと耳打ちした。

 アンジュラはルーインにそれとなく伝えると、私たち3人は遠巻きにその子を眺めた。
 
 何をするわけでもなく、ただ、どういう態度に出るのかを観察した。最初は声をかけずにどんな感じなのか観察しようと話になっていたが、目の前に張本人がいたら、

「だめだ私……やっぱ行ってくる」

 言うよりも早く身体は動いていた。

 だって、いてもたってもいられない。この人のおかげで私は戻れないんだから。本来行くべき所に戻ってもらわないと。

 後ろでアンジュラがなにか言ってたけど、ルーインにたしなめられていて、二人が本気で止めようと思うなら簡単に止められるはずだ。それをしないってことは、行ってもいいってこと。



「こんにちは」
 
 隣に腰をおろしながら普通に明るく声をかけた。
 
 びっくりした顔をして私の顔を見たその女子は、真っ白い顔に黒髪おかっぱ。めがねをかけていて、言い方はよくないと思うけど、

 幸が薄い。


「こ、こんにちは」

「ここで、一人で何してるんですか?」

「え……べつに」

「あー……ええと、少しお話しませんか? こうやって一緒になったのもあれですし」

「私、早くここから出たい」

「え」

「ここから出たいの。話なんていらない。早くここから出て、行くべきところへ行きたいの」


 ボソボソと聞き取りにくい小さい声で独り言のように言いながら首を小刻みに左右に振っていた。
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