天使みたいな死神に、恋をした
あー、そうなんだ。なんか少し分かったかもしれないけど、もしかして名前で私とこの人を間違えたんだとしたら、それやった奴、ほんと許さない。絶対許さない。てか許せない。咳払いをひとつ、
「あの、ちょっと話をしてもいいかな? 少し聞きたいこともあるし」
と私が言うと、「何も話すことはないよ。私はみんなと早くここを出たい」の一点張りだ。
「私ね、私、あと6日で本当に死んじゃうかもしれないんだ。でも、本当の私はまだ病院で頑張っていてね、私が帰るのをきっと待ってるの」
自分で言っててしっくりこないけど、仕方ない。私の本体は私を待ってるはず。
「……」
「だからね、私に成りすましている人を見つけて、その人が本来行くべき場所に行ってもらうようにしないといけないの。その誰かを捜すためにここへ来たの」
「私じゃない」
「……じゃぁ、あなたはどうしてここに来たの?」
それは……
とすぐに口を閉じ、目を左右にきょろきょろと動かして言葉を探している。
「あなた、本当は絵画サークルになんていなかったんじゃない? もしかしたらあのとき……ええと、その、だから、ちょっといろいろ話をしましょう」
「……」
私は返事を聞く前に『綠』さんの隣にべったりと寄るかたちで間をつめた。逃げられたら捕まえられないかもしれないから、何かあってもすぐに手の届くところに置いておきたかった。
遠くでアンジュラがこっちをじっと見ているのが分かる。
そして、どんなに遠くにいてもあの無駄な地獄耳で何を話しているのかを一字一句漏らすことなく聞いていることも……
なんとなーく雰囲気で感じる。