フレンズ

「絶対、だめだ。おまえ、命を何だと思ってるんだ」

カズが、声を荒らげた。

へぇ・・・カズって、こんな熱いとこ、あったんだ

・・・なんて、妙に、感心してる場合じゃない

「あんたね、でも、現実、ムリだよ・・・」

私は、カズの話をさえぎった。


カズは、いったん黙った。


私はそんなことより、正人に

電話するか

メールするか

それとも、何も言わないか


その三択で迷っていた。

ぐるぐるぐるぐる迷っていた。



「な、葉月・・・」

「・・・ん?」

検査薬と携帯を代わる代わる見つめながら生返事をする私を

包み込むような声でカズは言った。



「そしたら、その子ども、俺と一緒に育てたら、いいじゃん」




< 71 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop