葉桜~late spring days
 「待って、行くな」という言葉より先に、体が動いていた。もうどうなってもいい。嫌われたっていい。仲間という言葉のもどかしさを晴香にぶつけた。

 「嫌だ。仲間じゃ嫌だ。晴香は僕が仲間じゃないとダメか?」

 自分の身に起きている状況に混乱しているらしく、晴香は言葉に詰まっていた。

 「好きだ。晴香が好きだ…仲間じゃ嫌なんだよ。」

 好きだという言葉を聞いた晴香がバタバタして離れようとした。僕は少しだけ力を込めて抱きしめた。まだ話は終わってない。

 でも少し冷静になった僕もいた。突然こんなことされたら、それはビックリするよな。でも腕の中にいる晴香を離したくなかった。

 こんな無理やりなことして一方的に想いを伝えるなんて、ちょっと卑怯かもしれない。でも晴香の柔らかい体温を感じて、僕は冷静でいられなくなった。今、きちんと想いを伝えなかったら、自分が壊れてしまいそうな気がした。

 「ずっと怖かったんだ。好きっていう気持ちが強くなることが。拓人に似ているところが見つかるたび、怖くて仕方無かった。」

 拓人に似ているという言葉を聞いた晴香の動きが止まった。
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