葉桜~late spring days
 「僕が好きなのは晴香なのか、拓人に似ている晴香なのかよく分からなくなったり、拓人じゃないのに、目の前からいなくなるんじゃないかって、怖くて仕方無かった。

 でも違うって分かったんだ。

 晴香が笑っていてくれたら、そこにいてくれたらいいんだって、やっとわかった。」

 ずっと思っていたことを晴香に伝えた。嫌がられたっていい。伝えられたら、それでいい。やっとそう思えた。無理やり聞かせたに近いけれども、やっと言うことができた。

 晴香の体温が心の奥にじんわりしみこんでくるような、柔らかい気持ちになっている自分がいた。

 しばらく沈黙が続いた。

 沈黙を破るように、晴香が僕の肩に頭を乗せた。

「奏太、ごめん。」
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