葉桜~late spring days
前に進むということ
 うっかり寝坊してしまった。いつも朝練で早めに出ているから、多少の寝坊は許容範囲だけれども、今日の寝坊はギリギリセーフもしくはアウトの時間だった。お姉ちゃんが起こしに来なかったら完全に学校を遅刻していただろう。

 頭が回らない中、焦りだけが先行した。とりあえずテーブルにあった菓子パンをかじった。心配するお母さんと何やらニヤニヤしていたお姉ちゃんをよそに、バタバタと出て、何とかギリギリ間に合った。

 遅刻なんて普段だったら絶対にないし、朝起きられないこともない。まぁ、昨日の電話の時間と、その後の眠れなかった時間を考えれば無理のないことではあるけれど。

 葵ちゃんとの電話を切った後、気持ちは少しスッキリしたのに、なんだか眠れなかった。なんて話せばいいんだろう、付き合うとなったらどうすればいいんだろう、頭の中でいろいろなことがぐるぐるとしていた。
< 63 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop