黄昏に香る音色
麻里亜の言葉に、里美はすぐに切れた。

「何だと!てめえ」

里美は、麻里亜の胸倉を掴んだ。

「野蛮人」

麻里亜は、余裕な表情で、せせら笑った。

「里美!」

殴ろうと拳を上げた里美に、

慌てて、席を立った明日香は、里美の手にしがみついた。

「離せ!明日香」

「駄目!」

2人が揉めている間に、

麻里亜は、里美の手を振り解くと、

「あらあ?奥さんが来た」

麻理亜の言葉に、思わず周りは、吹き出した。

その笑いに、里美はさらに切れた。

「ぶっ殺す」

里美は、力ずくで明日香を振り解くと、麻里亜に襲いかかろうとする。

明日香は、里美に後ろから抱きつき、全力で止めようとした。

「離せ!明日香」




「やめないか!」

突然、厳しい注意の声が飛んだ。

その鋭い口調に、教室の空気が変わった。

声をした方を、みんなが一斉に見た。

声の主は、優一だった。

教壇の横に立つ優一の…さっきとは一転して、あまりの迫力に、みんな驚いた。

優一は一歩、3人に近付く。

「雪野さん。有沢さん。か、香月さん。席に、着いて下さい」

有無を言わせない…その迫力に、

3人は頷くと、それぞれの席に戻った。




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