黄昏に香る音色
それから、授業は何事もなく進み、

無事に、昼休みを迎えた。

体育館の裏にあるベンチ。

明日香と里美の、いつもの昼の憩いの場所だった。

校舎から離れているし、食堂の反対側になる為、生徒は殆ど来なかった。



「麻里亜の野郎!ムカつくぜ」

並んで席に座り、おにぎりをパクつきながら、愚痴る里美の隣で、

明日香は、サンドイッチをパクついていた。

「昔から、気に入らないんだよ。あいつのこと」

里美の愚痴は、止まらない。

誰もいないから、結構大声で、里美は愚痴っていた。

おにぎりの食べかすが、里美の口から飛ぶ。

「食べてる時は…話すのやめたら…」

「やめられるか!」

里美が、新しいおにぎりに手を伸ばした時、

思いもよらない人が、現われた。

「有沢さん。か、か、かづきさん!」

優一だった。

優一は明日香を見て、目を丸くした。

「かづきじゃなくて、こうづきですよ。この子は」

なぜここにきたとばかりに、里美は、おにぎりを手に取ったまま、優一に、冷たい視線を浴びせた。

「ごめん。注意してるんだけど」

頭をかく優一に、

里美は大袈裟に、聞こえるようなため息をついた。

「どおして!先生が、ここにいるんですか!」






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