守ってくれますか?


・・・・・・・今日、俺は朝からじいやと、俺の婚約者のアンリに会いに行っていた。

・・・はあ。
俺は正直、アンリに会いたくなどない。

婚約者と言っても、全く好きではない。
強制的に、いつの間にか婚約者となっていた。

・・・だが・・・・

どうやらアンリの方は俺を好いているらしく、よく『会いたい。会いにきて。』と、連絡をよこす。

その度に俺は世間体のため、アンリに会いにいかねばならない。
とても、面倒くさい。

で、もちろん今日も、アンリから面倒くさい連絡があり、俺はアンリに会いにいっていたのだ。


そして、城に帰る途中で、ふと気づいたのだ。

・・・・・そういえば。

ここの商店街の裏が、人売り屋の溜まり場になっているんじゃなかったか?

・・・人売り屋・・・・・
政府が知っているのに知らぬふりをしている・・・
いわば、黙認している・・・

影の商売・・・・・・


・・・行くか。

俺は、王子だ。
王位継承者だ。

行く権利が、見る権利が、知る権利が、ある。


そうして俺は、じいやの目を盗み・・・

人売り屋へ、行ったんだ。
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