素敵彼氏の裏の顔






あたしたちは、陰気臭い街中には似合わない、おしゃれなバーにいた。

バーの中央のシートを独占し、馬鹿騒ぎをしていた。

まるであたしはホステス。

淳ちゃんの横に座り、硬直している。

淳ちゃんの仕事は休みらしく、今日は朝まで飲み倒すと豪語していた。

反対に、一刻も早く帰りたいあたし。

あの頃と同じように馬鹿騒ぎをする先輩たちの横で、抜け出すタイミングを見計らっていた。






「城内、結局美優ちゃんと付き合わなかったんだな」




今から思えば、相手がこんなお馬鹿な淳ちゃんじゃなくて本当によかった。




「おぉ。美優にはもっといい男が現れたからな」




そう言いながら、淳ちゃんはいつものようにあたしの頭をわしゃわしゃ撫でる。

昔はこれが嬉しかったけど、今は隼人に対する罪悪感でいっぱいになる。

きっと、隼人は何も言わないだろうけど、悲しむかもな。



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