哀しみの音色
彼女の行動が謎すぎて、俺は去っていく彼女の背中を見送ることしかできなかった。
あの時と同じ。
大学で初めて会ったあの時と……。
だけど彼女が見せた、綺麗な涙の衝撃が、俺には強すぎて
その日から、彼女を忘れることが出来なくなった。
大学内では、冷たく…冷めた目をした彼女。
言葉もナイフのようで、男どころか、女友達とともにしているところすら見ない。
それはまるで、自分から壁を作っているようで、決して誰も自分の中に踏み込めないようにしているようにも見えた。
だけど時々見える。
とても淋しそうにしている姿を。
それは、友達が周りにいないからなのか
それとももっと別の理由なのか分からなかったけど
彼女の背負っているものが、いったいなんなのか
俺はそのことばかり、考えるようになった。