不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「美久、さっきなんか言おうとしてた?」
「ううん‼そんな大したことじゃないから大丈夫だよっ」
ギクッとして、とっさに愛想笑いを浮かべる。
まさか
好きって言おうとしてたとは言えない。
「言いたいことがあるなら遠慮せずに言えよ?」
どこまでも優しい結ちゃんに笑顔で頷いた。
とにかく良かった。
もう少しで自爆するところだった。
ホッと息を吐き出し、ビーフシチューに手を伸ばす。
「サラダとデザートもあるからね」
「珍しいじゃん。いつもはデザートなんてないのに」
2つ下の弟、李久(りく)がママに最もなことを言った。
「だって、なんだか嬉しくて‼家族が増えたみたいでしょ?」
にっこり笑うママは本当に幸せそう。
「だったら親父にお願いして、もう一人ぐらい作れば?」
「ごほっ……‼」
シチューが気管に入って思わずむせ返る。
それにしても
なにを言い出すのかと思えば。
李久の奴……。
昔から李久はあたしよりも大人びていて、時々びっくりするような発言をする。
にやにや笑いながらママをからかうところなんて、一体誰に似たんだか。