不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
真正面に座る愛翔は、我関せず顔で一言も口を挟もうとして来ない。
黙々とビーフシチューを口に運んでる。
それはデザートを食べ終えてからも同じで、ママの質問に答える以外は終始無言。
いくらあたしのことが嫌いでも、ちょっとはニコッとして欲しい。
本当、こいつだけはなに考えてるのかさっぱりわかんない。
「お前さぁ」
トイレに行こうとしてリビングを出たところで、背後からぶっきらぼうな声が聞こえて来た。
ギョッとして振り返ると、口元に妖しい笑みを浮かべた愛翔がこっちを見下ろすように立っていた。
リビングからは楽しそうに談笑する声が聞こえる。
ここには愛翔と2人だけ。
なぜか妖しい笑みを浮かべる愛翔に、嫌な予感が払拭出来ない。
「な、なに……?」
「兄貴のこと今でも好きだろ?」
突然の言葉にびっくりして大きく目を見開く。
「なっ、な……そんなワケ、ないでしょ」
核心を突く言葉に内心ドキリとした。