不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
落ち着け、落ち着くのよ。
あたし。
「よく言うよ、ベタベタしてたくせに。お前は昔からそうだよな」
「ち、ちがっ」
「ウソつくなって。顔も真っ赤だったじゃねぇかよ」
うっ、見られてたんだ。
よりによって一番見られたくない奴に。
「正直に言えよ」
この様子だと、いくら否定してもあたしの言葉を信じないだろう。
長年の付き合いから愛翔の性格は理解してるつもり。
終わった……。
愛翔のことだ、面白がって結ちゃんに言うに決まってる。
そういう奴だもん。
そうなったらあたしはもう……。
長い前髪の隙間から覗く大きな愛翔の瞳が、イタズラな色を含んだまま小さく揺れる。
ますます嫌な予感しかしない。
その瞳がそう物語ってる。
「お願い、言わないで‼」
屈辱的だったけど、必死になってそう懇願するしかなかった。