不良系幼なじみとの甘い恋愛事情


愛翔はダルそうに壁にもたれながら


あたしの前では見せたこともないような笑顔で笑っていた。


その笑顔はなんだかすごく懐かしくて。


遠い昔の記憶の中にある愛翔の顔を思い出させた。


昔はあんな風に笑ってたよね。


いつからだろう。

変わってしまったのは。



ズキン



小田君と笑い合う愛翔を見ていると、胸の奥の方が小さく痛んだ。



まどかに引っ張られながら俯いて歩く。



不良軍団の声がもうすぐそこまで聞こえていた。



下を向いていてもわかる、突き刺すようなたくさんの視線。


周りにいたギャラリー達のヒソヒソ声まで耳に届いた。



「うわ、可愛っ」



「やべっ」



「つか、お前らと同じ高校の制服じゃね?」



口々にそう言う声が聞こえて、あたしはますます顔を下に向けた。



っていうか、なんか嫌な雰囲気。


< 78 / 266 >

この作品をシェア

pagetop