不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「ただいま」
「おかえり」
リビングのドアを開けたあたしの前に、エプロン姿のママが嬉しそうに駆け寄って来る。
それと同時に美味しそうな匂いもして、お腹が鳴りそうになった。
「手洗っておいで。今日は美久(みく)の好きなビーフシチューだよ」
「本当⁉やったー」
そう言われて、すぐさま洗面所へ向かう。
ママのビーフシチューは天下一品なんだよね。
「あれ……?」
食卓へ着こうとして、ふと疑問が浮かぶ。
「食器の数、多くない?」
「あ、今日結翔(ゆうと)君と愛翔君がうちにご飯食べに来るのよ。今連絡したから、もう来ると思うんだけど」
「えっ⁉」
結ちゃんと愛翔が⁉
それで今日はママが嬉しそうなのか。
張り切って料理するわけだ。
「ヒロさんとユメさん、お店忙しいの?」
「そうみたいだよ。店舗も増えて、総括して取り仕切らなきゃならないみたいだし」
ビーフシチューの鍋をかき回しながら、ママが呑気に言った。