政略結婚~天使に導かれて~
颯太と愛が、鎌倉に引っ越してからも、楓は、ちょくちょく愛に会いに
行っていた・・・。

もちろん颯太が亡くなり、愛が入院した時も、楓は、颯太の葬儀に
参列したり、愛の病院に、何度も足を運び、愛から

「楓も忙しいんだから、無理しないで。」

と、言われたが、あまりに愛の状態が痛々しく、顔を見に来ずには
いられなかったのだ・・・。

孝太郎も、そんな楓の気持ちに感謝しながら、自分が鎌倉に来るときには
必ず、楓に声をかけた。

楓も孝太郎から誘われると、何を置いても、愛に会いに来た・・・。

そんな二人が、親しくなるには、時間がかからず、孝太郎と楓は
お互いが惹かれあっていき、いつの間にか、二人は付き合うように
なっていた・・・。

孝太郎も楓も、ただ愛の笑顔が見たかった・・・。

愛が笑顔になってくれれば、それで良かった・・・。

「孝太郎、愛は、大丈夫かしら?鎌倉に残るって・・・
 颯太さんの思い出がありすぎるから・・・心配だわ・・・」

楓は、愛の気持ちが、まだ颯太の死を受け入れていないのを知っている。

「うーん、母さんもしばらくは一緒に居るし、光太がいるから
 もうバカなことはしないと思うけど・・・・。」

孝太郎の言葉に、少しだけ不安が打ち消され

「本当に、愛に笑顔は、いつ戻るのかしら・・・・」

二人は、愛と光太のこれからを、心配せずにはいられなかった。

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