恋人たちのパンドラ【完】
ふらふらと自分の席に戻った悠里は、とりあえずパソコンの電源を入れた。
(どういうこと?私が担当のまま?)
あれほどまでに怒りを向けられたのにも関わらず、担当の変更がなかった。
一体どう言うことなのか、壮介の真意を悠里は計りかねていた。
パソコンに電源を入れて以後、動かない悠里を見て向かいの席から直樹が小声で声をかける。
「徳永さん、三国でなんかあったんですか?」
ふわりとした、明るい色の前髪から大きな瞳でこちらを見上げるようにみる。
向かいの席の町田直樹は悠里の後輩だが、中途入社で1月から入社した悠里とその4月に入社した直樹とでは社歴はほとんど変わらない。
ただ、中途採用枠の悠里は現場で即戦力とみなされ、入社当初なれない営業に正直四苦八苦していた。4月に直樹が配属されてからはお互いに悩みを相談したり愚痴を言い合ったりする仲だったが、律義なことに直樹はまだ悠里に対して【先輩】という肩書と【敬語】を崩すことがなかった。
(どういうこと?私が担当のまま?)
あれほどまでに怒りを向けられたのにも関わらず、担当の変更がなかった。
一体どう言うことなのか、壮介の真意を悠里は計りかねていた。
パソコンに電源を入れて以後、動かない悠里を見て向かいの席から直樹が小声で声をかける。
「徳永さん、三国でなんかあったんですか?」
ふわりとした、明るい色の前髪から大きな瞳でこちらを見上げるようにみる。
向かいの席の町田直樹は悠里の後輩だが、中途入社で1月から入社した悠里とその4月に入社した直樹とでは社歴はほとんど変わらない。
ただ、中途採用枠の悠里は現場で即戦力とみなされ、入社当初なれない営業に正直四苦八苦していた。4月に直樹が配属されてからはお互いに悩みを相談したり愚痴を言い合ったりする仲だったが、律義なことに直樹はまだ悠里に対して【先輩】という肩書と【敬語】を崩すことがなかった。