恋人たちのパンドラ【完】
「どうしてよー！今日はまだ一回もしてないでしょ？最近めっきりご無沙汰だったんだから、今日くらいしよーよ」

恥じることなく、【行為】を催促してくる美咲に壮介は鋭い言葉で返した。

「俺が帰れって言ってるんだから、帰れ」

そう言うと、膝に乗っていた美咲を無理矢理ソファへとずらし、グラスに入っていたブランデーを一気に飲み干した。

「そんな飲み方身体によくないよぉ」

グラスを取り上げようとする美咲を軽く突き飛ばし、立ち上がり冷たい目線を向ける。

「うるさい。お前には用がないんだ。帰れ、同じこと何度も言わせるな」

そう言うと、バスルームへと一人向かって言った。

その背中に

「壮介の馬鹿！次呼び出したって来てやらないから」

言葉とともにクッションを投げつけたが、壮介の背中には言葉同様届かなかった。

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