恋人たちのパンドラ【完】
表面上は冷たく辛辣な態度をとったが、自分の心はごまかすことができない。

普段職場では氷の王子と呼ばれるほど冷静な壮介の心臓を一瞬にして昂ぶらせたのは悠里という存在そのものだった。

そこに、悠里がただ‘いる’と言うだけで壮介は自分の気持ちがコントロール不能に陥り、どうすることもできずに今なおそれを引きずったままだった。

(俺はアイツを許せない。悠里だけはどうしても許せないんだ)

自分の中にある、二つの感情に壮介自身が挟まれて押しつぶされていた。
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