恋人たちのパンドラ【完】
後に先ほど壮介が話をしていた部下の綾川も混じり打ち合わせがはじまった。

打ち合わせは来月に三国百貨店で行われる、玩具の催事について。そこで悠里の勤める「YAMATO」も出店する予定になっていた。

「――では、こちらの資料にありますベビー向けの新作の玩具を中心に幼児向けの知育玩具を展示したいと思っています。顧客ターゲットについては・・・」

作成してきた資料を下に、悠里は話を進めていた。
となりで直樹は、補足のために少し口を挟む程度で概ね資料も商談も問題ないものだと感じていた。

一方の商談相手の壮介については、資料をほとんど目にせずに鋭い視線で悠里をずっと眺めているだけだった。

時折熱を持ったようなその視線を悠里は気がついてないようだったが、隣にいた直樹は目ざとく感じ取っていた。

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