恋人たちのパンドラ【完】
「―――という形で今後我が社は進めていただきたいと思います」

話をし終わった悠里はなるべく目を合わさないようにしていた、壮介に目を向けた。

その瞬間に目があって、今までせっかく仕事モードに頭を切り替えていたのに瞬時に無駄になった。

(慣れなきゃ・・・仕事仕事)

この9年間で自分に言い聞かせることだけは上手になったはずだ。しっかりしないと。

「わかりました。YAMATOさんの今季の主力商品には我が社も期待しております。ブースの場所については他社との競合になりますので、それに関しましては後日こちらからご連絡いたします」

綾川がノンフレームのメガネを指で持ち上げながらそう言った。

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