恋人たちのパンドラ【完】
「なんだか、ここで今日は接待だとさ。お偉いさんも大変だね~」

課長ののんきな姿と対照に悠里は溜息を一つ吐き出していた。

(正直、行きたくない。でも仕事だから)

「わかりました。私はこの資料を届けたらそのまま帰宅しますね。お疲れさまでした」

エレベーターから降りてオフィスを後にする。4月の後半だというのに肌寒く、悠里は首に巻いたストールを再度巻きなおした。

(いつになったら、あったかくなるんだろう)

今から、壮介のもとに出向かないといけない憂鬱な気持ちを感じないように別のことを必死で考える。

もうそうしている時点で、悠里の頭の中は壮介のことでいっぱいだった。
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