家族
 あの日のことを思い出し、春夫は再び怒りがこみ上げてきた。父の写真を思わず睨む。
 茜が死んだあと父は、人が変わったように静かになった。みるみる痩せていき、茜が死んで2年ほどしたある日、布団の中で動かなくなっていた。
 そんな父の姿を見ても春夫は涙を流さなかった。いや、流せなかった。
  春夫はおもむろに立ち上がった。
 仏間の戸を開けそして出来る限り音を立てずに自室に駆け込んだ。
 
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