かえるのおじさま
だからギャロは、素直な賞賛を口にした。

「まったく、たいしたもんだ。俺じゃ、こうはいかない」

「紐でつなげるだけだから、簡単よ。ギャロぐらい器用ならすぐに作れるわよ」

「技術的な話じゃないんだ」

ギャロはそのうちの一本を取り上げた。
麻紐に茶色っぽい実を連ね、ところどころ赤い実をあしらったデザイン。

「俺にはこういう、女の子供が喜びそうな配色が思いつかない。いや、そもそも女の子向けの景品を用意するなんて頭がないからな」

指先でネックレスをひねりながら、ギャロは恥ずかしげに顔を伏せる。

「俺は幸せ者だ。俺の女房は可愛い……うえに頭もいい」

その言葉には、美也子も赤面するしかなかった。

ぜんたい、男というものは、身体を手に入れるという『目的』さえ果たしてしまえば、冷めるものではないのか?
ギャロはますます甘くなるばかりだ。

「いいからさっさと食べちゃって!」

照れ隠しに少し強めの口調で言えば、彼が少しだけ首をすくめる。

「まあ、明日は忙しいし……早く寝たほうがいいか」

「寝るっ!」

「ち、違うぞ! ここは、みんなもいるし、明日は早いし、そういう事は……」
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