かえるのおじさま
だから、二人並んで床にはいった後も、ギャロは美也子の手を握り締めたままであった。

指を沿わせ、小さな手のひらを突き出した唇の先に引き寄せる。

「なあ、美也子、ずっとこうして眠れたらいいのにな」

「別に、寝るぐらい、毎日だって一緒でいいじゃない」

「毎日じゃない。ずっとだ」

彼は、美也子が異界に帰るのだと信じて疑わない。

いずれ、その手立てを見つけたら、自分の元から去るだろうと。
それも仕方ない。
彼女は異界の女だ。

だからそれまでの、かりそめの夫婦であると知って、それでもなお彼女の身体を欲したのだ。
だから……。

「ずっとだ……美也子」

喉を少し膨らませて、鳴らすようにささやく声に、美也子は何の迷いも無く答えた。

「はいはい。ずっと、ね」

「解ってないな。ずっとだぞ?」

「だから、ずっとでしょう?」

一方の美也子は、とっくの昔に元の世界に帰ることなどあきらめている。

残してきた母のことを思えば胸はいたむが、帰る手だてがない。

ならば彼の傍に居たいと、本当の夫婦になることを望んで身体を交わしたのだ。

「ねえ、ギャロ。ずっとって言ったら、ずっとなのよ」

「そうだな。ずっとだ」

どうもかみ合わない。

それが男女の感覚の差なのだと、二人は思っていた。

……このときは……
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