かえるのおじさま
そういうわけで結局、少年が手に入れたのは参加賞の小さな駄菓子だけであった。

「別に、ガキをだましているわけじゃないんだぞ」

ギャロが肩をすくめる。

確かに子供の小遣い銭を巻き上げているように見えなくもないが、これで上がりを得ているギャロにとっては、経営戦略だ。
妥協してやるわけにはいかない。

「まあ、ガキにもいろんなタイプが居てな、いきなり大物を狙おうってやつばかりじゃないさ」

良く見ればとりやすい手前の方にも、ちょっとした目玉景品が隠されている。

どこかのおもちゃ屋で仕入れた小さなブリキ人形や、高級な菓子でパンパンに膨れたキャンディバッグなどは、子供の喜びそうな派手な色で目をひく。
ギャロの細工だって、透けそうなほど薄くまで削りこんだ翅が美しいトンボの彫刻など、子供にとってはちょっとした宝物になるだろう。

「ヤマっ気さえ出さなければ、とれるものはいくらでもあるんだよ」

ギャロは枯れ枝を組んで作り上げたアクセサリー台をこつこつと指で叩いて見せた。

それは大きく三又に分かれた枝を平らな台に据えただけの簡単なものだが、わっかがかかりやすいように枝先が程よい長さに切りそろえてある。
もちろん、美也子の作ったネックレスが飾るように引っ掛けてある。

枝に下げられたネックレスは3本。
木の実が日の光でピカピカと輝いて、それこそ本当の宝物のようだ。
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