かえるのおじさま
「ああ、がんばるのはいいことだ。だけど、自分の苦手な事は誰かに頼むって言うのも、賢いやり方だろ」
「だって、私は、女だし、裁縫、くらい……」
「お前は時々、おかしなことを言うなあ。それがあっちのやり方なのか?」
ギャロはかがみこみ、美也子が作った不細工人形を手に取った。
「誰にだって、得手、不得手があるだろうよ。それは男だとか、女だとか、関係ないさ」
「だって……」
「だってじゃない。いいか、美也子、朝餉の支度が女衆の当番になっているのは、重労働である水汲みに男手を持ってくるためだ。だが、女でも男以上に力のあるものがいれば、当然に水汲みを手伝わせる。そら、チョトおばさん、いのしし頭の。あれなんか、若い頃は料理番じゃなくて水汲みをしていたさ」
件の婦人は年齢を考えて料理番に回されてはいるが、力仕事があれば借り出されて男以上の働きを見せる。
かように個々の能力差の著しい世界なのだ。
特に集団で生活する旅座では、男女の枠などあまりにも無意味。
「女らしくない、とか、言わない?」
上目遣いで伺う美也子の表情に、ギャロがごびりと喉を鳴らした。
「お前のどこが女らしく無いって言うんだよ。あんな、その……可愛いというか、エロいというか、女の顔するくせに……」
欲熱に浮かされて女房の腰に伸びる手を、ネロの声が遮った。
「ギャロ、まだ真昼間だぜ」
「うう、そうだったな」
「だって、私は、女だし、裁縫、くらい……」
「お前は時々、おかしなことを言うなあ。それがあっちのやり方なのか?」
ギャロはかがみこみ、美也子が作った不細工人形を手に取った。
「誰にだって、得手、不得手があるだろうよ。それは男だとか、女だとか、関係ないさ」
「だって……」
「だってじゃない。いいか、美也子、朝餉の支度が女衆の当番になっているのは、重労働である水汲みに男手を持ってくるためだ。だが、女でも男以上に力のあるものがいれば、当然に水汲みを手伝わせる。そら、チョトおばさん、いのしし頭の。あれなんか、若い頃は料理番じゃなくて水汲みをしていたさ」
件の婦人は年齢を考えて料理番に回されてはいるが、力仕事があれば借り出されて男以上の働きを見せる。
かように個々の能力差の著しい世界なのだ。
特に集団で生活する旅座では、男女の枠などあまりにも無意味。
「女らしくない、とか、言わない?」
上目遣いで伺う美也子の表情に、ギャロがごびりと喉を鳴らした。
「お前のどこが女らしく無いって言うんだよ。あんな、その……可愛いというか、エロいというか、女の顔するくせに……」
欲熱に浮かされて女房の腰に伸びる手を、ネロの声が遮った。
「ギャロ、まだ真昼間だぜ」
「うう、そうだったな」