かえるのおじさま
実はギャロには、三人の弟と一人の妹が居る。
もっとも下の二人が生まれたのはギャロが旅座に入った後なのだから、顔すら知らない。

所在を教えられたのだから、どこか旅の途中で行き会うことがあれば良かろうとは思う。
だが、こちらから無理に会いに行こうとまでは思えない。

しかし、すぐ下の弟は別だ。

(あれは、いくつだったんだっけ)

家を出たときにギャロが5歳だったのだから、弟は3歳だったはずである。
いつものように外遊びにいくとでも思ったのか、チトチトと、短い足でついてこようとしていたっけ。

あの泣き虫がどのような大人になったのか、ぜひ会いたいと思う。

ごとん、と馬車が石を踏んで跳ねた。
枕にした道具箱の中で、がたり、と音がする。
ギャロは無意識に指先の人形を握りこみ、守るように胸元に引き寄せた。

弟に会いにいくとしたら、美也子は……。

その弟は、母がギャロから無心した金で高位学校を卒業し、さらに上の研究学程に進んだと言う。
現在では王立の研究機関に、魔法の研究者として勤めている。
つまり、町で研究者崩れの魔導師など探さなくとも、確実に、空間転移の魔法学者と顔が繋げるのだ。

もちろん、それ以前の問題はある。
実際に対面して見て、その人柄を良く見極めねばならない。

何しろ美也子は異界から来た人間だ。うかつに動けば『研究材料』として捕らえられる可能性も無きにしも非ず。
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