かえるのおじさま
そんな戸惑いに、座長は戸棚から出した干菓子を差し出して答えた。
「いいよいいよ。今は難しいことを考えなくていい。私が聞きたいのはもっと単純なことだからね」
「あの……舞台を台無しにした責任なら私にあります。どうか、ギャロのことは……」
「それも気にしなくて良いよ。こうなる事は全て計画のうちなんでね」
「でも、お客さんが怒ったんじゃあ……」
「ああ、みんなに入場料を返して大損害さね。今夜だけを見ればね」
座長は洋服の隠しから数枚の硬貨を出して、ちゃりっと美也子の前に置いた。
「今夜の出来事であんたたちのファンになったお嬢さん方からさ。女を掻っ攫いにくる男ってのは、女の子なら誰でも憧れるもんだろ?」
美也子には思い当たることがあった。この座長は副業を持っている。
「いいよいいよ。今は難しいことを考えなくていい。私が聞きたいのはもっと単純なことだからね」
「あの……舞台を台無しにした責任なら私にあります。どうか、ギャロのことは……」
「それも気にしなくて良いよ。こうなる事は全て計画のうちなんでね」
「でも、お客さんが怒ったんじゃあ……」
「ああ、みんなに入場料を返して大損害さね。今夜だけを見ればね」
座長は洋服の隠しから数枚の硬貨を出して、ちゃりっと美也子の前に置いた。
「今夜の出来事であんたたちのファンになったお嬢さん方からさ。女を掻っ攫いにくる男ってのは、女の子なら誰でも憧れるもんだろ?」
美也子には思い当たることがあった。この座長は副業を持っている。