かえるのおじさま
「ミャコせんせ?」

鈴のような声が美也子を呼ぶ。

「あああ、ごめんね。どこか解からないところ、あった?」

「ううん。ちゃんとできたよ。丸つけて? ミャコせんせ」

ノートを差し出すその子の頭を、トラ猫頭の少年がぽくんと叩いた。

「ミャコじゃなくてミャーコだろ。赤ん坊かよ」

「あ、せんせのこと、呼び捨てした~。いっけないんだ~」

「ああ? 呼び捨てじゃありません~。お前に説明してやっただけです~」

美也子は両手を広げて二人の間に割り入る。

「はいはい、授業中だからね」

「ミャコせんせ~、ルクがいじめる~」

少女が美也子に抱きついた。少年の方は不満気に鼻先の毛を逆立てている。

「別に、いじめたわけじゃねえし」

「いじめたもん~」

子供たちに少々振り回され気味になりながらも美也子は、笑っていた。
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