かえるのおじさま
それから半時もしないうちに戻ってきた少女は、数人の友人を連れていた。

おかげであっという間に、ちいさな木箱いっぱいの木の実が集まった。

それを馬車に運び込む頃には日も暮れ掛けていたのだが、新婚夫婦のデートと言うことで遅い帰りをとがめるものは誰も居なかった。

ただ、木箱をひょいと覗き込んだネロだけは、呆れきったように頭を振る。

「あんたら、新婚サンなのに……なにやってんの?」

ギャロがごりごりと頭を掻く。

美也子のほうはそんなことさえ気にせず、ギャロの道具箱を引き寄せ、錐を取り出した。

「ああ、危ないから、俺がやる」

木の実は扱いが難しい。
穴を抉ろうと無理な力を加えれば裂ける。

力任せに道具を使う素人の手には余る代物だ。

「貸してみろ」

ギャロは靴を脱いで、足の指の間にちいさな実を挟む。
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