かえるのおじさま
「あたしは、そういう深い所を知りもしないで、言葉の上っ面しか見て無かったのさ」
座長の後悔の言葉は、ざんげにも似た響きで美也子の心をかき乱した。
ギャロは確かに悲しい子供であった。
彼が売られた金は幼い弟たちを養うのに充てられたらしい。
その事は、半生記にも書かれていた。
“訊ねてみたことがある。
「あんた、自分を売った母親を恨んでないの?」
「う~ん、でも、オカネがないと、困るんだよ。母ちゃんのお腹には俺の弟が入っててさあ、働かせてもらえないって、言ってたから、俺が働かなくちゃ、な」
なんということだ! この子はこんな幼くして、自ら覚悟した上で売られたというのか。
「父ちゃんが最期に残してくれた、大事な赤ん坊なんだ。だから、母ちゃんにとっても、俺にとっても、大事な赤ん坊なんだ」とも言っていた。
強い子だと思った。涙の一つも見せはしない。だが、吸盤が僅かに震えているのを、私は見逃さなかった。“
座長の後悔の言葉は、ざんげにも似た響きで美也子の心をかき乱した。
ギャロは確かに悲しい子供であった。
彼が売られた金は幼い弟たちを養うのに充てられたらしい。
その事は、半生記にも書かれていた。
“訊ねてみたことがある。
「あんた、自分を売った母親を恨んでないの?」
「う~ん、でも、オカネがないと、困るんだよ。母ちゃんのお腹には俺の弟が入っててさあ、働かせてもらえないって、言ってたから、俺が働かなくちゃ、な」
なんということだ! この子はこんな幼くして、自ら覚悟した上で売られたというのか。
「父ちゃんが最期に残してくれた、大事な赤ん坊なんだ。だから、母ちゃんにとっても、俺にとっても、大事な赤ん坊なんだ」とも言っていた。
強い子だと思った。涙の一つも見せはしない。だが、吸盤が僅かに震えているのを、私は見逃さなかった。“