かえるのおじさま
「や、その……こいつらはふざけているだけだから、よ」

男衆にははやしたてられ、女衆からはからかわれ、その中心に居る蛙頭の男が道化だったということが、すとんと腑に落ちた。

ギャロの周りはいつも笑いと愛情に満ちている。
それは悲しい生い立ちに対する同情だけではなく、彼の性質によるものなのだと、和やかなからかいの輪の中で、美也子は気づいた。

ギャロは思慮深く、真面目な男だ。
場の空気を読むことには特に長けていて、自分の感情よりも一座の和を優先して行動できる男でもある。

……だからこそ感情の隙間からこぼれる寂しげな風情が気になる、惹きつけられる。彼と親しい者は誰でも、他人を和ませるためのおどけた笑顔ではなく、心底の幸せで満たされた彼自身の笑顔を見たいと願ってしまう。そして……どれほどの女がこの切ない気持ちを味わったのだろう。

(私は彼の『幸せ』になりたい)

ただ笑ってくれればいいと思う。
満たされた笑顔で。

求めるような、すがるような心地をこめた美也子の表情に、ギャロの視線が止まった。
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