かえるのおじさま
「まだ、いっぱい作らなくちゃ、ならないから」

指を振りほどくことには成功したが、熱い。
指先だけではなく、もっと体の奥底に篭もる熱を感じる。

ギャロを見れば、空っぽになった自分の手のひらを見つめていた。

でっぱった目玉は寂しく下瞼を引き上げ、口元は低く「そうか」と鳴る。

(このまま、抱かれてしまいたい)

そんな事を思ったのは初めてだ。

男に抱かせてくれと頼まれることはあっても、美也子から男を欲した事は無い。
だが今、はっきりとした欲望が美也子の真ん中に居座っていた。

(ギャロだって……)

男なのだ。
そういう欲求が無いわけではなかろう。

(はしたない)

そこにつけこもうとしている。

誘いをかけて彼のカラダを篭絡し、心を縛りたい。
真面目な彼なら、一度夫婦としての契りを交わした相手を無下にはしないはず……。

(違うのに、そういう好きじゃないのに)
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