可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 ……だんだん不安になってきた。

 三者面談や懇談会を数多く経験していても、彼女のご両親への真剣なご挨拶なんて、生まれて初めてだ。

 どう考えても、不利な条件が揃っている。

 でも、このご家族はちゃんと誠実に話せば解ってくれるはずだ。

 今の彼女を慈しみ育てたのは、このご両親だから。

 気遣いができて優しくて憎めないキャラクターは、この家で育まれた。

 彼女が大事に想っている家族の理解を得られる人間になれるかどうか。

 自信はないが、誠意をもって話すしかない。

「ご両親にとっては、不安材料の多い男かも知れません。私は既に29歳で、菫さんとは11歳離れています。
 母子家庭で育ち、資産も何もありません。ただ、菫さんのことを誰よりも幸せにするための努力は惜しみません。
 これから先、離れて暮らすことにもなりますし、きっと数々の困難な出来事が待ち受けていると思います。それでも、私にできる精一杯の誠意と愛情で乗り越えていくと誓います。
 そして、いつか……菫さんが社会人になってから、また改めてご挨拶に伺えたらと思っています。
 菫さんと、結婚を前提にお付き合いさせて下さい」
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