可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 ずっと黙って聞いていたお父さんが、口を開いた。

「菫の人生を、まるごと変えた責任を取って下さい」

 ……どういう事だ!?

「お父さん、そんな言い方したら先生が可哀想でしょ」

 お母さんが笑ってる。

「いや、事実だろう。親元でぬくぬく育っていた世間知らずな娘が、京都の名門大学に合格した。その上、こんなに立派な男に惚れてしまったらしい。全部先生のせいです。私には文句のつけようがない。
 ……責任を取って、娘を幸せにして下さい。お願いします」

 ……ほっとした。

 分かってもらえて、良かった。

「でも、4年間も離ればなれなんて可哀想に」

 お母さんがごもっともなことを言った。

 仕方がない、まだ言わないつもりだったが、ご両親の安心材料になるなら打ち明けるか。

「実は、考えていることがあります。
 以前お話ししましたが、私は家庭の事情で希望の大学へ進学することができませんでした。
 それで、遅ればせながら当時の志望校をまた受験することにしました。
ただし、今回は大学院ですが」

 ご両親が不思議そうな顔をしている。

 まあ、普通は知らないよな。
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