可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 離れてしまう前に、少しでも触れていたかった。

 ラグの上に座っている安西を、背中から抱きしめる。

 一瞬、体を固くしたが、嫌がる様子はない。

 むしろ、寄りかかってくるのが信頼されている証のようで嬉しい。

「……先生、どしたの?」

「……そろそろ『先生』って呼ぶの、やめないか?」

 耳元で告げる。

「え!? 嫌だった?」

「嫌、じゃない。でも、いつまでも背徳感がつきまとうんだよな」

 俺はお前にとって『先生』だと。

「でも、もし呼び方変えちゃったら、みんなの前でもうっかりそれを出しちゃうよ」

 ……だろうな。

「教育実習中に、学校で間違えて名前呼んじゃったら困るでしょ?」

 それはそうだが。

「名前、ちょっと呼ばれてみたかったなぁ。……でも『先生』って呼ばれるのも、ある意味萌え、か」

 ちょっと、いや、かなりにやけてるな、今の俺。そうそう。

「風呂、沸いてるけど先に入ってくるか?」

「え!?」

いわゆる『恋人座り』のまま、聞いてみた。
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