可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 質問の内容は適切なものだった。

 安西のお母さんには、全部だと答えたが、多分そんな答えじゃ納得しないだろ?

 俺の言葉を、首をかしげて待っている。真剣に、答えなきゃな。

「……俺の言うことを一生懸命聞いて、必死に頑張って、素直に何でも吸収できる素地があって。
 最初は、お前の成長を見るのが楽しくてしかたがなかったが、それだけじゃ済まなくなってきた。
 涙もろくて、優しくて、照れ屋で、うちの犬みたいで、可愛くて。
 二人が一緒にいたら、きっとお互いがより良い人間になれると感じた。
 ずっと、一緒にいたいと思った」

 安西と一緒なら、きっと何でも楽しみながら頑張れる。

 仕事と勉強に明け暮れていた俺に必要なのは『楽しみながら毎日を過ごす』ことだったから。

 ……照れる。

 でも、安西は嬉しそうだ。俺の答えに納得したような表情。

「……ありがとう、先生。先生のこと、好きになって良かった」

 俺を見上げて、にっこり笑っている。

 か、可愛い。

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