可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 それともう一つ……。

「俺も、『先生』としてではなく、ただの『一人の男』として、好きになってもらえるように努力するよ」

 菫はまだ、気づいていない。

 菫が好きなのは『松本先生』だということに。

「さっきの菫の告白は、教員に対する、生徒からの最上級の誉め言葉だったよ。
 だから、老若男女どの教員であっても、その言葉を贈られたら最高に嬉しい。
 でも……恋愛対象としての俺個人はどうかなって考えたんだ。
 ……やっぱり、まだ、足りないよな」

「何が足りないの?」
 
「菫が俺の守備範囲に入った時から今までの時間。『先生と生徒』じゃなくなってから、まだ3日だもんな。今までの生徒としての時間が長い分、急に切り替えるのは無理だよな?」

「うん……。ごめんなさい。」

「いいんだ。それが当たり前だから。……いや、むしろそうじゃなきゃ困る」

「どうして?」

 お前の妄想小説の教員と同じになるからだ!

 ……とは腹の底で思っていても口にしないでおく。
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