可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 ……ということは、やっぱり俺達、結構前から両思いってヤツだったんだな。
 密かに嬉しくなった。

「生徒の前に立つ時、誇りを持てる自分でありたい。だから、それを理解してくれたのは本当に嬉しいよ。だけど……足りない」

 すぐ横で、車が通りすぎていく。
 でも、今、ここで。
 もう、二人だけで会える時間は限られているから。
 また、泣かせてしまった彼女に『恋人』としてできることを。
 シートベルトを外して、菫にキスをした。

「まだまだ足りない。……菫自身が足りない。
 やっと、こうして触れられるようになったのに、また手が届かなくなる。
 もっと触れたい。
 もっとキスしたい。
 もっと仲良くしたい。
 ……『男』の俺はどうしようもなくわがままなんだ」

 キスの後、つい、本音が出た。

「わがままなのは、先生だけじゃないよ。私もまだ足りない」

 こんなに至近距離で、恥ずかしそうに囁かれたら、ますます欲しくなる。
 でも、残念ながらもうタイムリミットだった。
 知れば知るほど、菫が自分にとって必要不可欠な存在になる。
 こんなに大切な存在になってしまって離れがたいが……。
< 263 / 282 >

この作品をシェア

pagetop