ぱんつのおかず
「…おまえ、おれのことわけわからん、みたいによー言うけど。おれかて、おまえのことわからん」
パチって。スイッチ押したみたいに、一気にしゃべり出す。
待って、なんか言えへんかった。
セッチの低い声が、耳に真っ直ぐ、届くから。
「おれのこと、めっちゃ拒否るくせに…部屋も、閉め出すくせに。今日…映画とか、誘ってきたり。風邪んとき、おれがおってくれて良かった、て、言うたり」
「……セッ」
「うれしかったのに」
かすれた低い声が、ウチに向けられる。
暗闇に見えるのは怒ってる顔やのに、なんで。
全然、こわくなくって。
「…っ、なんで電話出るねん。タマキの名前出すねん。今日こふじから誘ってくれたん、おれ、めっちゃうれしかったのに――」
「あ……」
ウチをうつす、セッチの目。
暗いから、ひとみの中におる自分は、どんな顔しとるかわからへんけど。でも。