ぱんつのおかず

移動教室の授業なんか知らんけど、教科書両手に抱えて、固まるこふじ。


しかもこふじだけやなくて…タマキも一緒や。



「あー……、おはよ」



ビックリ顔のこふじに、とっさに言えたんはそれだけやった。


こふじも、同じかんじで答えてくる。



「…あ、セッチ、おはようっ!!」



今まではおれに笑顔なんか向けてこおへんかったくせに、ニヤッて。


わざわざ口、引き上げて。


しゃーないよな。しゃーないって、わかっとるけど。



…流れる空気が、なんかまだ、ぎこちない。



「…なに、1限から移動?」

「あっ、うん!化学でな、実験の日やねん」



どうでもええ会話や。


せやのに、簡単に心臓が跳ねる。



「サイリュームの発光のヤツ?おれのクラス、こないだしたわ」

「えっ、そうなんや!!む、難しかった?」


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